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例話の紹介 / (2) 劣夫跨驢(れっぷころ)のたとえ
劣夫の驢に跨つて上らざれども、転輪王の行くに従へば、すなはち虚空に乗じて四天下
に遊ぶに障礙するところなきがごとし。かくのごときらを名づけて他力とす。

(『教行信証』、註釈版194頁、『往生論註』引用文)

【概要】

力のないものがロバに乗っても空へのぼることはできません。しかし、勝れた力をもつ転輪聖王にしたがって行くときには、空にのぼり、何のさまたげもなくあらゆる世界へ行くことができます。このたとえにより、他力の仏道が表わされています。

【解説】

  • ・親鸞聖人は「他力といふは如来の本願力なり」(註釈版190頁)と仰っています。他力とは阿弥陀如来の本願力のことであり、他人の力を意味するのではありません。
  • ・浄土真宗の仏道は、他力の仏道です。私たちは、如来の本願力に乗ずることで、浄土に生まれさとりを開き(往相)、迷いの世界へ還って自在に衆生を利益する(還相)という、往相・還相の証果を恵まれます。

【補足】

  • ・転輪聖王は、全世界を統治する理想的な王として仏典にしばしば説かれます(註釈版1518頁参照)。
  • ・同じく他力の仏道をたとえたものに、龍樹菩薩の『十住毘婆沙論』「易行品」に見える「水道の乗船」のたとえがあります(七祖註釈版5頁)。