目 次 ・ 収 録 内 容 |
●特集 お盆 その前に 「歓喜の仏縁週間―真宗のお盆」満井秀城 「〈本来のお盆〉はどこにある」 「読んでみよう『仏説盂蘭盆経』」 「『盂蘭盆経』への誤解」打本和音 「初盆と中陰を考える」 夏です。夏といえばお盆です。いやまだ梅雨入りの時期、ちょっと気が早いのでは?確かにそれもそうですね。ですがこの時期だからこそ、忙しいお盆本番に向けての備えがじっくりできるという面もあると思います。今回のメインは、お盆の起源として知られている『盂蘭盆経』。実はこれまでご法話などでも繰り返し語られてきた『盂蘭盆経』解釈の「常識」が、昨今見直されつつあるのです。『盂蘭盆経』の全文とともに、易しく解説します。 ●はじめの一歩1 真宗〈悪人〉伝 12 井上見淳 「弁円」 教団史上「悪者」とされてきた人物たちの人生を通して、ちょっと違う角度から真宗の歴史と教えを学ぶシリーズ。時は鎌倉時代。常陸国で活動していた山伏の頭領、弁円。真摯に修験の道を歩んでいたこの頭領は、はじめ害心を抱いた希代の宗教家との出会いを経て、劇的に人生を変化させました。そこには異なる道を歩みながらも、真摯に仏道を全うじようとする者なら誰しも感じる共通したジレンマがありました。今回は、弁円の胸のうちに迫ってみましょう。 ●はじめの一歩2 幸せってなんだろう―悪人正機の倫理学― 6 藤丸智雄 「欲望は悪か―功利主義がもたらした快楽の時代について」 「悪人正機」という特殊性を持つ浄土真宗という宗教を中心に据えながら、古今東西の宗教や倫理学の知見を通じて、「幸せ」について考える連載。アリストテレスもイエスも、もちろん釈尊も、禁欲的であることを肯定しました。しかし、現代社会は、欲望がどこまでも拡大し続けているように思えます。禁欲という美徳は消えたのでしょうか!?欲望が悪なら、現代社会は誤った見方が広がり煩悩に満ち苦しみに覆われた、まさしく五濁悪世なのでしょうか!?そして、そんな社会になったのはこの人のせいなのでしょうか?功利主義の提唱者ベンタム(ベンサム)の登場です。 ●聖典セミナー 『唯信鈔文意』2 安藤光慈 「名号の摂化」 本願寺派司教・安藤光慈先生による『唯信鈔文意』講座。『唯信鈔文意』は、親鸞聖人が兄弟子にあたる聖覚法印の『唯信鈔』を解説されたものです。『唯信鈔文意』には『唯信鈔』の教えをさらに展開した聖人独自の仏教観が示されており、聖人のお考えを知る上で非常に重要なお聖教です。今回拝読するご文にも、浄土真宗で最重要といってもよい「名号」についての大切なお示しが示されています。私たち一人ひとりをしっかりとご覧になってお救いくださる如来のはたらきを味わわせていただきましょう。 ●せいてん誌上講演 「正信偈」22 梯 實圓 「源信和尚(1) 日本浄土教の黎明」 故・梯實圓和上による「正信偈」の講演録。「…横川に、なにがし僧都とかいひて、いと尊き人住みけり」。『源氏物語』「手習」の一節。この僧侶のモデルとされるのが、七高僧の第六祖・源信和尚です。仏教のみならず、日本の文化に大きな影響を与えた源信和尚とはどんな方だったのでしょうか。今回は、和尚の生涯、そして日本浄土教の黎明を告げる書『往生要集』についてのお話です。 ●もう1人の「親鸞」6 黒田義道 「枕石の物語」 「宗祖」として様々に描かれてきた親鸞聖人に関する伝説的物語をクローズアップして、その物語を語り継いだ人々の心をうかがう真宗史入門。親鸞聖人は、42歳から、京都に戻られる62歳頃までの約20年の間、関東で過ごされ、多くの方がたにみ教えを伝えられました。今回は、その関東時代に起きたという、よく知られている割に、実は謎の多い不思議な出来事、「枕石」のお話。 ●おてらカメラ―ちょっとの工夫でこの違い 4 中西康雄 「光を意識してお寺を撮る」 お寺を撮影するコツを学ぶコーナー。お寺の撮影ポイントというと、大きな屋根が美しい外観、金箔で飾られた色鮮やかな内陣、といったところがすぐに思いうかびますね。しかし、お寺に近づいてよく見てみると、部材や構造に魅力があり、いろいろな撮影ポイントがあることに気づきます。今回は、写真の基本である「光と影」について学びながら、お寺を魅力的に撮影する方法を学びます。 ●法語随想 2 蓮谷啓介 「如来の作願をたづぬれば 苦悩の有情をすてずして……」 阿弥陀如来は、今のありのままの私を抱き取って捨てない仏さまです。今号は、不登校の経験を持たれる佐賀県出身の小学校教師・秋山忠嗣さんのお話から、「本願力回向の救い」のおこころを味わいます。 ●読者のページ せいてん質問箱 4 大原実代子 「〈本願寺七不思議〉って何?」 仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。世界七不思議とかなら知っているけど、本願寺にも七不思議が?実はあるんです。今も境内のあちらこちらに。「本願寺七不思議」を知れば、本願寺参拝の楽しみが増える可能性大?! ●人ひとみな 物語からであう 2 石川大夏(ともしえ) 「四門出遊」 影絵を用いた布教を各地で行っている「ともしえ」の皆さんに、影絵作品を一つずつ紹介していただいています。今回は「四門出遊」。釈尊の出家に大きな影響を与えたエピソードに、オリジナルの登場人物を加えることによって、老・病・死という命の真実の問題が、私たち一人ひとりのこととして、より身近に感じられる作品になっています。 ●お寺はいま 大阪府和泉市・西教寺「てらこやハッピー」 「子どもたちに笑顔を」 ユニークで工夫をこらした活動を行うお寺を紹介する取材記事。寺院活動のヒントがつまっています。今回は、お寺と地域が連携して「子ども食堂」を行っている西教寺「てらこやハッピー」を取材しました。発会から1年を迎えるまでの試行錯誤のプロセス。これからお寺で「子ども食堂」をはじめたいと思っておられる方、ぜひ御覧ください。 ●西の空 心に響くことば 「未知」(榎本栄一) 心に響く言葉を美しい写真とともに味わう、ほっと一息つくことのできるコーナー。素朴な言葉で人生のまことをうたった「市井の仏教詩人」榎本栄一さんの詩をお届けしています。今回の詩は「未知」。つらいことや嫌なことがあっても、まっさらな明日がやってくる。それは「希望」なのだとこの詩を読んで感じました。 |
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季刊せいてん no.123 2018 夏の号 |