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季刊せいてん no.132 2020 秋の号
  • 著者: 浄土真宗本願寺派総合研究所編
  • 刊行年月: 2020/9
  • サイズ: B5判
  • ページ数: 66ページ
  • 価格: 本体637円+税
  • 出版社・取扱者: 本願寺出版社






●特集 「こんな時だからこそ 〈伝道〉を考える」
  《インタビュー》「一番大事なことを伝える」瓜生 崇
  「遊びでやっているわけじゃないんです。―私のSNS活用法」松崎智海
  「されど掲示板―掲示伝道の可能性」江田智昭

コロナ禍によって、お寺の伝道活動に強い逆風が吹いています。しかし、厳しい状況ではありますが、一度立ち止まって、あらためて「伝道」について考え、新たなスタートを切るチャンスであるとも思います。
今号では、独自の活動で注目を集める三名の先生方のお言葉をお届けします。これから私たちは、何を、どうやって伝えていくべきなのでしょうか。



●はじめの一歩1 江戸時代の庶民的な仏教書とお説教(新) 和田恭幸
  「江戸時代の法座」

江戸時代の平易な仏教書(談義本)やお説教(節談説教)の研究をご専門とする和田恭幸先生(龍谷大学文学部日本語日本文学科教授)の連載がスタートしました。信仰・学び・娯楽が同居した豊かな江戸の真宗世界をご堪能ください。第1回は、天台宗の碩学・霊空光謙和尚も驚きうらやんだ真宗のご法座の様子を、たいへん貴重な史料をもとにご紹介いただきます。



●はじめの一歩2 幸せってなんだろう―悪人正機の倫理学― 15 藤丸智雄
  「パンデミックと看取りの無い世界」

新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、何がどのように変わり、何が問題となるのでしょうか。たしかにウイルスの蔓延で世界の表情は一変しました。私たちも生活の中で行動が制限されています。しかしそれのみならず、生き方や価値観までもが大きく変わろうとしていると藤丸先生は指摘されます。パンデミックという大事態からみえてくる「いのち」の問題を一緒に考えてみましょう。



●聖典セミナー 『唯信鈔文意』11 安藤光慈
  「虚仮不実の私」

兄弟子である聖覚法印の『唯信鈔』に引用されたお経などのご文に、親鸞聖人が解説を施した『唯信鈔文意』。今回学ぶのは、親鸞聖人が善導大師のご文を読みかえられ、いつわりばかりで真実のない私たちの姿を表されたお言葉です。私たちはどこまで虚仮不実であるのか。それはどうやら、私たちが思うよりもずっとずっと深いようです。



●せいてん誌上講演 『蓮如上人御一代記聞書』3 稲城選惠
  「水の中に籠をつける―念仏の中の生活―」

「その籠を水につけよ」―ご門徒の問いにたくみな表現で答え、かつ浄土真宗の信仰の要(かなめ)を表した、名人芸ともいうべき蓮如上人のお言葉。思わず「うまい!」と感心してしまうのですが、忘れてはならないのは、私が籠を水につけられているかどうか、です。言葉を尽くした稲城和上の解説で、じっくりお味わいさせていただきましょう。



●ほとけのいる景色―アジャンター石窟寺院 7 打本和音
  「日本人の見たアジャンター 4」

大正6年(1917)の12月から3カ月間、美術雑誌を刊行する国華社主宰のアジャンター壁画模写事業が行われました。この模写により、第1窟の守門像や天井に描かれた異国情緒漂う王侯像など、アジャンターでも残りの良い壁画が写され、日本へと送られました。今回は、アジャンター壁画の模写と、それを写した絵師たちのその後を追ってみたいと思います。



●せいてん茶道教室(終) 清基秀紀
  「茶道と型」

茶道には「型」があります。お茶室も庭も茶道具もお点前も客の作法も、すべて型のなかにあります。それが茶道の歴史や文化ですが、その型のなかで創意工夫をします。それも時代をこえて茶道の魅力となっています。



●法語随想 3 武田一真
  「慈眼をもつて衆生を視そなはすこと、平等にして一子のごとし」

なぜ阿弥陀仏は「親」と呼ばれ、私たちは「子」であるのか。そのわけを、私たちが生まれ、親を知るという「いのち」の物語によって味わう、武田先生の深いご法話です。



●読者のページ せいてん質問箱 5 壬生泰紀
  「『大経』っていくつもあるの?」

仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。1世紀頃インドで成立したとされる無量寿経は何度も漢語に翻訳され、現在複数の漢訳が現存しています。しかし、漢訳それぞれの内容には違いがみられます。それは一体なぜなのでしょうか?翻訳者の表現の違いだけが原因???



●人ひとみな ニュートラルな考え 3 朝倉行宣
  「理想の実現は難しい」

「テクノ法要」で注目を集める朝倉住職のエッセイ。順風満帆に見えるテクノ法要も、実は、試行錯誤や失敗の連続なのだそうです。その困難を朝倉住職はどのように受け止めているのでしょう。思い通りにならない人生だからこそ……。



●念仏者はいま 龍谷大学名誉教授・中垣昌美さん
  「なぜ、今、老いを問いなおすのか 2」

前号に続き、仏教社会福祉研究のパイオニア、龍谷大学名誉教授・中垣昌美先生の講演録を掲載いたします。今回は、高齢者の介護の社会化が進むなかで、仏教社会福祉の理念がどのように貢献しうるのかが語られています。6月3日にご往生された中垣先生の最後のお言葉、どうぞお聞き届けください。



●西の空 心に響くことば
  「木の上」(榎本栄一)

心に響く言葉を美しい写真とともに味わう、ほっと一息つくことのできるコーナー。素朴な言葉で人生のまことをうたった「市井の仏教詩人」榎本栄一さんの詩をお届けしています。今号の詩は、しょうこりもなく同じことを繰り返す私たちのすがたをユーモラスに表現した「木の上」です。