目 次 ・ 収 録 内 容 |
●特集 「『歎異抄』と私」 「『歎異抄』─導きの書・励ましの書─」今井雅晴 「大学一回生の時〈宗教あなどりがたし〉と思った」釈 徹宗 「〈わからない〉と悩む人にとびっきり優しい人」中島岳志 「老少・善悪のひとをえらばれず」ほか 天岸淨圓ほか 時代を超えて私たちを惹きつける『歎異抄』。今回は、『歎異抄』に出遇われた方々の多様な視点を通して、その魅力を再確認してみましょう。今井雅晴先生には、師弟関係ということを軸に、『歎異抄』への熱いお気持ちを綴っていただきました。そして、さまざまな場面で活躍しておられる18名の先生方から、①『歎異抄』にまつわる思い出。②『歎異抄』の言葉をあえてひとつ選ぶなら。その理由も。③これから『歎異抄』を読む人へのメッセージ。④『歎異抄』に関するおすすめの書籍。の4項目についてお書きいただきました。 ●はじめの一歩1 真宗〈悪人〉伝 18 井上見淳 「善信房親鸞(三)」 驚嘆すべき学識と底知れぬあたたかさで、善信(親鸞聖人)のどんな問いも受け止め、成長を見守ってくださった法然聖人。そして法義について時にぶつかり、時に感動をともにしながら、楽しく過ごした兄弟弟子達。善信は、法然聖人の門下で充実の時を過ごしていました。一方、比叡山や南都(奈良)仏教側からの法然浄土宗への攻撃は次第に苛烈さを増していきました。法然聖人も万策を尽くして対応していかれますが、いよいよ追い詰められていきます。そんななか聖人は、善信に対して異例の早さで主著『選択集』と真影(肖像画)の図画を許可します。実はそこには法然聖人の深い思し召しがあったのでした。浄土宗を開いた希代の天才宗教家・法然聖人が、吹き荒れる逆縁の嵐の果てに、すさまじい姿をみせていかれます。今回は承元の法難篇です。 ●はじめの一歩2 幸せってなんだろう―悪人正機の倫理学― 12 藤丸智雄 「〈生きがい〉から考える善悪」 〈生きがい〉という日本語は、外国語に翻訳しにくく、意味を定義するのが難しい曖昧な言葉です。ヴィクトール・E・フランクルさん、神谷美恵子さん、茂木健一郎さんの〈生きがい〉に関する著書を手掛かりにしつつ、ハードロックバンドKISSの歌や、いつも家族の靴を磨いていたおじいさんの話など、さまざまな事例を通じて、善と〈生きがい〉との関係について考えてみたいと思います。 ●聖典セミナー 『唯信鈔文意』8 安藤光慈 「さとりの性質―二種法身」 阿弥陀仏の浄土は、さとりの世界であると説かれています。親鸞聖人はそのさとりの性質をダイナミックにあらわし、「二種法身」という見方を示されます。色もなく形もなく、私たちには想像することも表現することもできないさとりが、その本来の性質として私たちを救済する。この奥深い教えをじっくりと学んでみましょう。 ●せいてん誌上講演 「正信偈」(終) 梯 實圓 「法然聖人(5) 深く信ずる心」 約七年にわたり続いて参りました梯實圓和上の誌上講演「正信偈」もいよいよ最終回です。今号では、最後にふさわしく、浄土真宗の根幹である「信心」についてのお示しです。親鸞聖人のお説きになられた「正信」のありようをじっくり聞かせていただきましょう。 ●ほとけのいる景色―アジャンター石窟寺院 4 打本和音 「日本人の見たアジャンター 1」 アジャンター石窟と日本人との出会いは、明治時代に遡ります。いまでこそ「知る人ぞ知る」なアジャンター石窟ですが、実は一時期、ちょっと有名だったんですよ。アジャンターが注目されることになるきっかけのひとつは、いわゆる廃仏毀釈と呼ばれる動き。日本仏教界に焦りが広がるなか、いち早く海外に目を向け、仏教が来た道を探り、起死回生のヒントを先人に学ぼうとしたひとたちがいました。西本願寺第22代宗主、大谷光瑞(鏡如上人、1876-1948)が主宰した仏跡調査プロジェクト、いわゆる大谷探検隊です。そして、初めてアジャンター石窟を調査した日本の組織こそ、実はこの大谷探検隊なのです。今回は大谷探検隊の瞳をとおして、アジャンター石窟をみてみましょう。 ●せいてん茶道教室(新) 清基秀紀 「茶道の楽しみ」 茶道は堅苦しいものというイメージを持っておられませんか。簡単なルールさえ覚えれば難しいものではありません。経験してみれば、こんな楽しみ方があったのかと意外な発見に 驚くこともあります。 そんな茶道の楽しみをこれからお話ししましょう。 ●法語随想(終) 舟川智也 「当来の世に経道滅尽せんに、……」 舟川先生の法語随想の最終回。『仏説無量寿経』の最後のご文を、余命宣告をされたご門徒のお言葉を通して味わってくださいます。 ●読者のページ せいてん質問箱 2 壬生泰紀 「インドに阿弥陀仏の仏像は、あるの?」 仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。仏教発祥の地インドには、たくさんの古い阿弥陀仏像が、そこかしこに残っている、というイメージがありました。でも、実際は??? 近年大きく進歩した阿弥陀仏像研究の成果をもとにお答えいただきます。 ●人ひとみな ナモアミダブツ in カリフォルニア(終) 桑原浄信 「お寺に参る人の関心事」 日本でも海外でも、浄土真宗のお寺が仏法を聞く場であることは変わりません。それは大前提とした上で、仏法を広く伝えていくためには、お寺にお参りする人々が関心を持っていることを意識することも大切になってきます。アメリカのお寺にお参りする人々は、いったいどんな事に関心があるのでしょうか。 ●念仏者はいま みやざきホスピタル副院長・宮崎幸枝さん 「ようこそ、浄土真宗に出遇えてよかったね」 お念仏を依りどころとして日々を送られている方にお話をうかがうコーナー。今回は、「お浄土があってよかった」という実感をもって医療に従事されている医師・宮崎幸枝さんを訪ねました。浄土真宗に出遇うまでの経緯、出会った和上がたの言葉、患者さんや看護師さんたちの様子、そして浄土真宗の魅力について、じっくりお話をうかがってきました。 ●西の空 心に響くことば 「不捨」(榎本栄一) 心に響く言葉を美しい写真とともに味わう、ほっと一息つくことのできるコーナー。素朴な言葉で人生のまことをうたった「市井の仏教詩人」榎本栄一さんの詩をお届けしています。今回は、榎本さんがさまざまな悲しいご縁の中で感じられた世界をうたった詩。写真は、藁の菰(こも)に囲われた冬牡丹です。 |
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季刊せいてん no.129 2019 冬の号 |